本記事は…
「英文契約書における“Provided that”の意味」、
「契約書における但書の意義」、
「“Provided that”の類似表現」にフォーカスしています。
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英文契約書における“Provided that”の意味
今回の記事でご紹介する内容は“Provided that”の用法についてです。英文契約書では、“Provided that”は「但書」で使用される「ただし~」という表現を意味します。
この“Provided that”という表現自体は、実は以下の記事でTOEIC L&Rで出題される「接続詞」として紹介しています。気になる方はチェックしておきましょう。
今回の記事でフォーカスするのは、“Provided that”が特に英文契約書において使用される場合の意味についてです。
以下にて英文契約書において“Provided that”が使用されるサンプル分を示しています。早速、“Provided that”の用法を確認しましょう。
Article 30 (Term)
- This Agreement shall be effective for 1 (one) year from January 19, 2024. Provided that if neither X nor Y requests a change or termination of this agreement at least 1 (one) month prior to the expiration of the term, this agreement shall be automatically remain in full force and effected for another 1 (one) year period under the same terms and conditions, and the same shall apply thereafter.
以下の日本語訳もあわせて確認しましょう。
第30条(有効期間)
- 本契約は、2024年1月19日より1年間有効とする。ただし、期間満了の1か月前までに甲乙いずれからも本契約の変更又は終了の申入れのない場合には、本契約は同一の条件で自動的に1年間延長され、以後も同様とする。
上記日本語訳のとおり、“Provided that”は「ただし」と訳されます。太字ではじまる文章のブロックは、「第30条第1項但書」と表現します。本文の内容に対して、留保や条件を付ける機能を果たしています。
「但書」という言葉では次の項目でご説明いたします。
そもそも「但書」って何?
では、そもそも「但書」とは何でしょうか。
「但書」は、ある条文の「本文」の内容に対して、留保や条件を付ける機能を果たすものです。
第30条(有効期間)
- 本契約は、2024年1月19日より1年間有効とする。ただし、期間満了の1か月前までに甲乙いずれからも本契約の変更又は終了の申入れのない場合には、本契約は同一の条件で自動的に1年間延長され、以後も同様とする。
さきほど確認した契約書サンプル条項の和文を確認してみましょう。「本文」(「本契約は」~「とする。」の部分)が原則的な内容を示しているのに対して、「但書」では例外的な内容を示していることが確認できるかと思います。
ちなみに、上記サンプル条項は、英文契約書でも和文契約書でも必ず入っているであろう「一般条項」の典型的な内容となっています。
内容としては、「自動更新条項」と分類されるもので、サブスクリプション契約に限られず多くの契約においてみられるものです。
契約書の内容をあまり深く確認されない方もいらっしゃるかと思いますが、どんな契約でも、「有効期間」に関する内容は重要です。特に、サンプルで示したような自動更新条項については、気付かない間が更新されていた(=積極的に解除を行わないと契約関係が存続していってします)という事態につながりかねません。
どんな場面でも契約書はすみずみまでしっかりと確認する癖をつけましょう。
期間に関する条項は契約書の最後の方に記載されていることも多いので要注意です。
なお、「但書」自体を英語で表現する場合には、“proviso”と表現します。こちらは、ラテン語を由来とする表現となります。
たとえば、“as stipulated in the proviso of Article 30, paragraph 1…” で「第30条第1項但書で規定したとおり…」を意味します。引用した上で、追加的な内容をさだめる場合に登場する表現となります。
なお、ここでいう“stipulated”は、“specified”や“provided”でも置き換えが可能となります。
英文契約書ではしばしば、ラテン語を由来とする法律用語が登場します。このように英文契約書上登場するラテン語由来の単語については以下の記事でご紹介できればと思いますので、ご興味のある方はこちらもご確認ください。
類似する表現
“Provide that”に類似して同様の機能を果たす表現に “providing, however, that”という表現があります。英文契約書上の用法について確認していきましょう。
Article 30 (Term)
- This Agreement shall be effective for 1 (one) year from January 19, 2024; providing, however, that if neither X nor Y requests a change or termination of this agreement at least 1 (one) month prior to the expiration of the term, this agreement shall be automatically remain in full force and effected for another 1 (one)-year period under the same terms and conditions, and the same shall apply thereafter.
さきほど英文契約書上の“Provide that”の用法を確認したサンプル契約書条項と内容は同一となります。
“providing that”はTOEICでも出題される「接続詞」でした。“providing, however, that”という表現はさらに“however”が加わった表現ですが、“Provided that”と同様に、英文契約書上「ただし~」という「但書」を導く表現となります。
注意点としては、“providing, however, that”という表現が使用される場合には、;(セミコロン)に続く形で、「但書」の内容がつながっていきます。
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