「英文契約書」に登場する「ラテン語由来の表現」について

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英文契約書に登場するラテン語由来の表現」、

ラテン語に由来する法律用語に関する英語表現」、

にフォーカスしています。

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英文契約書に登場するラテン語由来の表現

今回の記事でご紹介する内容は、英文契約書に登場するラテン語由来の表現についてです。

前回の記事で、英文契約書上、ラテン語に由来する独特の表現がしばしば使用されることについて言及しました。“proviso”=「但書」という表現です。

「英文契約書と但書」については前回の記事で紹介していますのでご興味がある方は以下のリンクから内容をご確認ください。

さて、英文契約書上しばしばみられるラテン語由来の表現は“proviso”=「但書」に限られません。早速以下にて、英文契約書で登場するラテン語由来の表現について確認していきましょう。

英文契約書上登場するラテン語由来の表現の一覧

以下の表において、英文契約書上登場するラテン語に由来する表現の一覧をまとめています。

英文契約書上登場するラテン語に由来する用語一覧
  1. “bona fide” (善意、誠実な)
  2. “prima facie” (明白な、一応の)
  3. “in lieu of” (~の代わりに)
  4. “pari passu” (同順位で)
  5. “per annum” (1年ごとに)
  6. “per diem” (1日ごとに)
  7. “mutatis mutandis” (準用して)
  8. “pro rata” (その割合に応じて)
  9. “inter alia” (とりわけ)
  10. “ex parte” (一方的な)
  11. “vice versa” (逆もしかり)
  12. “ab initio” (さかのぼって)
  13. “ipso jure” (法律上当然に)
  14. “de facto” (事実上の)

“pro rata”(その割合に応じて)、“vice versa”(逆もしかり)、“bona fide”(善意、誠実な)等の表現はTOEFLの勉強でもみかける表現ですよね。他の表現についても意味を確認していきましょう。

“bona fide”(善意、誠実な)

“bona fide”(善意、誠実な)

; provided, however, that no bona fide third party has been notified of the acquisition of such share certificates.

「ただし、善意の第三者から当該株券等の取得について通知がなされていないことを条件とする。」

ここでいう「善意」は、善悪の善ではなく、「知らずに」という意味をさす、法律用語としての「善意」をさします。ある取引に関する事情についてあずかりしらない第三者のことを「善意の第三者」と表現します。

また、“bona fide”には「誠実な」、「誠実に」という意味もあります。たとえば、“bona fide negotiation”は「誠実な協議」を意味します。

なお、“bona fide”は“in good faith”という表現にも置き換えが可能です。

英文契約書でも和文契約書でも共通ですが、「認識」に関する表現については慎重に確認するようにしましょう。

ひとくちに「善意」といっても、「善意無過失」を意味するのか、「善意無重過失」を意味するのか、その他例外的な条件は規定されていないか等、念入りに確認することが肝要です。

“prima facie” (明白な、一応の)

“prima facie” (明白な、一応の)

Failure to comply with these requirements shall constitute prima facie grounds for the termination of this agreement.

「これらの条件を充足しなかった場合、本契約を解除する明白な理由となる。」

“prima facie”には、上記の例文のように、「明白な」と訳される場合のほかに、“prima facie evidence”(一応の証拠)のような「一応の」という意味もあります。

「疎明」(裁判所に申立てをする際に、裁判官をして、一応確からしいという推測を得させる程度の証拠をあげること)を説明する文脈でも“prima facie”という表現を使ったりします。

“in lieu of”(の代わりに)

“in lieu of”(の代わりに)

The Purchaser shall, in lieu of sending a written notice as prescribed in the preceding paragraph, send such notice by Electromagnetic Means with the consent of the person who is to receive the notice under that paragraph.

「買主は、前項に規定する書面の送付に代えて、同項に基づき通知を受けるべき者の承諾を得た上で、当該通知を電磁的方法により送付するものとする。」

“in lieu of” は、「~の代わりに」と訳されます。“instead of” にも置き換えることができます。

事前通知に代えて手当を支払うということから、“payment in lieu of notice”は「解雇予告手当」と訳出されることもおさえておきたいです。

“pari passu” (同順位で)

“pari passu” (同順位で)見出し

The “Parity Securities” means obligations of the Issuer which effectively rank pari passu as to interest payment with the loan.

「『同順位証券』とは、発行者の債務で、利息に係る権利について本契約に基づく貸付と実質的に同じ条件を付されたもの等をいう。」

“pari passu”は、「同順位で」を意味するフレーズとなります。

特に、デッドによるファイナンスの分野においては、支払いの優劣が非常に重要な意味を持ち、“pari passu”という表現は、英文契約書のみならず、条件を説明する際にも使用される単語になります。

デッドファイナンス以外の場面でも、債務の優劣は、特に倒産・破産時に重要な意味を持つため英文契約書上“pari passu”という表現が使用されることがあります。

“per annum” (1年ごとに)、“per diem” (1日ごとに)

“per annum” (1年ごとに)、“per diem” (1日ごとに)見出し

The Company shall also pay the interest on the price calculated at the rate of 10% per annum from and including the Acquisition Day.

「本会社は、取得日から起算して年率10%の割合で計算した代金の利息についても支払うものとする。」

“per annum” は「1年ごとに」、“per diem” は「1日ごとに」を意味するフレーズとなります。

上記例文の通り、英文契約書上は、利息や遅延損害金の計算について合意する場合に見かけるフレーズとなります。

“mutatis mutandis” (準用して)

“mutatis mutandis” (準用して)

Article 30 shall apply mutatis mutandis to cases where the Agents of the Seller commits a breach of obligation stipulated in Article 24.

「第30条の規定は、売主の代理人が第24条に定める義務に違反した場合に準用する。」

“mutatis mutandis” は、「準用して」という意味をしめす表現です。

すでに規定されている内容を、類似の場面にも適用させたい場合に使用されるフレーズとなります。

“pro rata” (その割合に応じて)

“pro rata” (その割合に応じて)

The amount of the benefit payable is based upon a daily pro rata basis.

「手当は日割りで支払うものとする。」

“pro rata”は、「その割合に応じて」という意味をしめすフレーズとなります。

責任や報酬を、持分や成果の量に応じて決める、といった場面で使用されるフレーズとなります。

前述のとおり、TOEFL対策をする上でも重要なフレーズとなりますのでしっかりとおさえておきましょう。

“inter alia” (とりわけ)

“inter alia” (とりわけ)

The following acts, inter alia, are prohibited based on the provisions of subsection (3) of this section.

「(3)の規定に基づき、とりわけ次に掲げる行為が禁止される。」

“inter alia” は、「とりわけ」という意味をしめすフレーズとなります。

上記例文のように、限定を付すわけではないものの、対象を例示したい場合(このような例示方法を「例示列挙」といいます。)に使用される表現となります。

“ex parte” (一方的な)

“ex parte” (一方的な)

The Seller may unilaterally terminate this Agreement ex parte without any notice to the Buyer in the following cases:

以下の場合には、売主は買主に何ら通知をすることなく一方的に本契約を終了させることができる。

“ex parte” は、「一方的な」という意味をしめすフレーズとなります。

相手方当事者の意向にかかわらず、一方的に申立てをするといった場面で使用される表現となります。

“vice versa” (逆もしかり)

“vice versa” (逆もしかり)

In this agreement, unless the context requires otherwise, the singular includes the plural and vice versa.

本契約では、文脈上別段の定めがない限り、単数形には複数形が含まれ、逆もまた同様である。

“vice versa” は、「逆もしかり」という意味をしめすフレーズとなります。

上記例文は契約書冒頭の「頭書」で敢えて規定しておくことのある定型文となります。

“ab initio” (さかのぼって)

“ab initio” (さかのぼって)

Any attempted transfer of the Shares by the Purchaser in violation of the terms of this Agreement shall be deemed to be void ab initio.

買主によって、本契約の条件に違反した本株式の譲渡が行われた場合、当該譲渡は当初からさかのぼって無効とみなされるものとする。

“ab initio”は、「さかのぼって」という意味をしめすフレーズとなります。主に、当初からさかのぼって効力が否定される(遡及的に無効とする)といった文脈で使用されます。

「遡及的に」をしめす“retroactively”でも置き換え可能な場合がありますので、こちらの表現もあわせておさえておきましょう。

“ipso jure” (法律上当然に)

“ipso jure” (法律上当然に)

The purchaser shall incur, ipso jure, the liability provided hereafter.

買主は、以下に定める責任について法律上当然に義務を負うものする。

“ipso jure”は、「法律上当然に」という意味をしめすフレーズとなります。

あえて条文で規定しなくても、法律上当然に義務を負うことを確認的に規定する場合などにみかける表現となります。

“de facto” (事実上の)

“de facto” (事実上の)

“Subsidiaries” are defined as enterprises in which the enterprise concerned owns more than 50% of the voting rights, and includes companies in which more than 50% of the voting rights are owned by another subsidiary independently or jointly with the enterprise concerned, as well as companies in which the company has de facto control even with less than 50% ownership.

「『子会社』とは、議決権の50%以上を所有する会社と定義され、議決権の50%以上を他の子会社が単独で、または当該企業と共同で所有する会社や、50%未満であっても事実上の支配権を有する会社も含まれる。」

“de facto”は、「事実上の」という意味をしめすフレーズとなります。

契約書で「親会社」や「子会社」の定義を規定する場合などに、事実上の支配権が及んでいる場合も含める場合などで使用される表現となります。

事実上の支配権を有するエンティティを含んでいるかどうかの情報は、COC条項(Change of Control(チェンジオブコントロール)条項)の検討をする際などに非常に重要となります。

COC条項の意義については、他の記事でご紹介させていただきます。


ラテン語に由来する法律用語に関する英語表現

他にも、ラテン語に由来する法律用語の英語としては、“memorandum”(メモランダム)、“lex loci contractus” (契約締結地の法)、“in camera”(裁判官室で)等があります。

ラテン語に由来する表現に出会うたびに知識のストックを進めていきましょう。知識の一元化が重要です。

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